【デート当日の私の心境】私が心を差し上げたいのは誰なんだろう
私は28歳男性、Mさんとマッチングアプリで出会い、デートする約束をしました。デート当日を迎えたのですが、私は、心ここに在らずの状態でした。
当日は、12時に銀座ライオンの前で集合する約束になっていました。
私は10時半に起床し、支度をしようとしました。
でも、疲れていたようです。すぐに支度を始めず、なぜか冷蔵庫の上に置かれたレンジに「ねえ。Mさん、どう思う?」と話しかけていました。
時間が差し迫っているのに、全く支度をする気が起きませんでした。
なんだか、TさんとSさんを思い出してしまって、やっぱり辛い。今は、恋愛したくない。今傷つけられたら、立ち直れない気がする。
独り言を言っていたら、あっという間に30分経過していました。
私は前日風呂に入っていませんでした。絶対にデート前だったら入るべきでしょう。前日の化粧も落としてないし、体臭も気になるし。でも、今から入ったら100%遅刻です。
風呂に入らないでデートするのと、ドタキャンするの、どっちが失礼に当たらないのだろう。
真剣に考えました。どう考えてもどっちも失礼に決まっています。
でもどちらかしか選べないのなら、ドタキャンする方が失礼だよね。
悟りを開いた私は風呂を諦め、化粧を始めました。
化粧落としシートで化粧を落とすことも忘れ、ファンデーションの上からファンデーションを塗ってしまいました。
でも、もういいや。時間ないし、やる気出ないし。
そう思いながら、なんとか支度を済ませました。
そしてなんとか家を出て、銀座へ向かいました。
新宿で乗り換えて、東京メトロで銀座に向かうのが一番良さそうでした。
一度新宿で降りたのですが、自分が降りたホームからどうやって東京メトロに乗るのか分かりませんでした\(^o^)/
でも、探している時間はありませんでした。早々に諦め、四谷から東京メトロに乗ることにしました。四谷なら新宿よりは小さい駅のはずなので、東京メトロの乗り場が見つけやすいと思ったのです。
そして、四谷に向かい、到着しました。
私は四谷に向かっている途中、IUの「Give You My Heart」を聞いていました。
そして聴きながら、またSさんのことを考えていました。
しかも慌てて家を出たせいで、化粧直し用のメイクポーチを家に置いてきたことにも気がつきました。本当に、私は心ここに在らずだったようです。
この「Give You My Heart」という曲は、約1年くらい前に大ヒットした韓流ドラマ「愛の不時着」の挿入歌です。
ドラマを観ていたときはあまりサントラや挿入歌を気にしていませんでした。でも最近IUの曲を流し聴きしていたらあまりも素敵なバラードがあることに気がつきました。そして見てみるとたまたま「愛の不時着」の挿入歌でした。
最高なので是非聴いてみてください。
www.youtube.com
韓国語で歌っているのに、凄く心に沁みてくるのです。どんな歌詞なのか気になり、電車に乗りながら日本語訳を見てみました。
最初の、歌い出しの部分と、その途中の部分です。
당신에게 드릴 게 없어서あなたに差し上げるものがないので나의 마음을 드려요私の心を差し上げます
그대에게 받은 게 많아서あなたからもらったものが多くて표현을 다 할 수가 없어요すべてを表現することができません…
엇갈리지 않게 여기すれ違わないようにここで기다릴게요待っています
「あなたからもらったものが多くて、すべてを表現することができません」その訳を読んだ瞬間、涙が出そうになりました。
Sさんに振られたときの思い出が色鮮やかに蘇ってきました。
2か月前復縁したいというわがままを聞いてくれた3年前別れた元カレSさん。叶わなかった復縁。苦い思い出。3年前の別れ際、傷つけてごめんと謝ってくれたSさん。どうして最後に「自分らしくいることが成長だから、私らしくいて」と言ってくれたのか分からないSさん。そのときの言葉を盾にして、最近別れを告げたマッチングアプリで出会った男性、Tさん。
昔のまま、なにもできなかった私。大人になったと思ったのに、なにもできないままの私。私が前を向けずうじうじしていた期間に、すっかり大人になったSさん。大人になって、「私のままでいて」と言ったSさん。Sさんばっかり、大人になっていかないで。私を、置いていかないでよ。
「いい人を探せるように、頑張る」と言いながら、あのときの言葉を、忘れられない私。きっと、Sさんと出会っていなかったら。衝動的に一人暮らしすることも。突然ワクチン接種を決めることも。昔よりポジティブな自分になることも。きっと、なかっただろう。ずっと、自分を大事にできず、犠牲にし続けただろう。今より、もっと良い自分になろうなんて、思えなかっただろう。今を全力で生きようなんて、思わなかっただろう。付き合った期間は短かったけれど、Sさんは私に様々なものを与えてくれていたのかもしれないと思いました。
「すれ違わないように ここで待っています」
もう、すれ違っているのに。待っていたって無駄なのに。どうして、あのときかけてくれた言葉が、消えてくれないの。どうして、私はSさんを待ってしまうの。もう、前に進まなきゃいけないのに。
少し囁くようなIUの声が、まるで
Sさんのこと、たまには思い出す日があったって、いいんじゃない?と言ってくれているように感じました。
そう思えたときには、目頭に感じていた熱がいつの間にか冷めていました。
そして、「愛の不時着」のドラマを思い出しました。
北緯38度線の韓国と北朝鮮の国境で、ヒロイン、ユン・セリがヒョンビン演じるリ・ジョンヒョクと別れるシーンを思い出しました。
あの2人にとっての壁は、国境だった。私と、Sさんにもあの2人のような、超えられない壁がありました。価値観という名の、壁でした。だから、今の私にしみたのでしょうか。
そこまで考えた後、この曲を書いた人は、どんな人だったのだろう、と思いました。
ドラマはハッピーエンドでしたが、なぜかこの曲は失恋の経験をもとにして書かれたような気がしました。
曲の最後に、
부디どうか
추억만 남지 않길思い出だけ残ることがありませんように너완あなたとは
とあるからです。
失恋していない人が、別れたら最後に思い出しか残らないという事実を知っているはずがありません。
この曲を書いた人も、それを上手に歌ったIUも生まれ育った国は違うけれど実らない恋をして、苦しんだ経験があるんだろうな、と勝手ながら思うことにしました。
そう思っていると、いつの間にか私は四谷でJRから東京メトロに乗り換えることを忘れ、気づけばまた新宿駅に戻ってきてしまいました。
東京メトロに乗り換えるどころか、来たほうとは逆方向の、中央線に乗っていたようです。
それは、過去の記憶を堂々巡りしている、答えのない迷路で歩き続けている、自分のこころのようでした。
そんなことを考えていると、完全に、遅刻確定でした。
IU「Give You My Heart」の翻訳は、私がそのとき読んでいた下記のサイトより引用しました。
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金曜こそブログ書こう。
— ももこ (@hjkt0402) 2021年9月14日
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