僕の傘を探しに

26歳OLの雑記

たまには恋愛以外のことも考えたかった26歳独身女【書評:原田マハ「リボルバー】

久々に紀伊國屋へ行きました。

 

家にいても、Sさんのことばかり考えてしまうので、本でも読もうと、会社帰りに立ち寄ってみました。

Sさんの話はこちらから。

 

momokoara0402.hatenablog.com

 

 

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何か、面白い本はないか、とゆっくり見ていたところ、私が昨年見た、ゴッホの「ひまわり」が表紙に印刷された、原田マハ著「リボルバー」が目に入りました。

 

 

 

 

昨年2020年3月、上野にある国立西洋美術館で、ロンドンナショナルギャラリー展が開催され、その中でもゴッホの「ひまわり」は目玉として展示されていました。私は当時ロンドンナショナルギャラリー展に、母と一緒に行ったのです。

そのときは正直、作品の良さがよく分かっていませんでした。というのも、母が美術館好きで、そのときは暇だったからついていくことにしたのです。

 

立ち読みした時点で、もうすでに引き込まれたので、ハードカバーで高かったのですが購入を決定。

 

早速読んでみました。

 

ゴッホと、ゴーギャン、二人の作家の熱い友情が描かれていました。

有名な話ですが、二人は短い期間ですが一緒に住みながら絵を描いていたんです。

でも、ゴーギャンが共同生活を終わりにしようと言い、それを聞いたゴッホゴーギャンを止めるべく耳を切り落としたと言われています。

 

美術史では、上記の通りですが、作中では本当にそうだったのか?という謎を主人公のが解き明かしていく、という美術ミステリーです。

 

事の始まりは、主人公高遠冴が働いている、CDCという、美術品オークション会社に、錆びついたリボルバーが持ち込まれます。

持ち込んできた女性、サラはこれは「ゴッホと病」展という美術展にも出品されたことがある、ゴッホが自殺の時に使用したリボルバーである、と説明し、高値で落札できるのか調べてほしいと言います。

 

ゴッホゴーギャンについての博士論文を書いていた冴は、サラの説明に美術史の史実と異なる点があると気づき、調べを進めることになるのです。

 

そして、なんと、美術史を覆すような、重大な事実にたどり着くのです。

 

ネタバレはしたくないので、あらすじはこの辺までにしておきます。

 

私は、ゴッホにもゴーギャンにも知識があまりなかったのですが、この本で描かれている二人の熱い友情に感動しました。二人は作風も違うし、結婚し、何人も妻をもったゴーギャンに対し、ゴッホは好意を抱いた女性と結ばれることはなく、生涯独身でした。

一般的には、家族を持ったゴーギャンと、生涯独身だったゴッホは、どちらかというと、ゴッホの方が不幸であった、と思われているようですが、本作では、果たして本当にそうだったのかも突き止めていく話になっています。

 

共同生活を解消してからも2人の友情は続き、ゴッホゴーギャンに手紙を書き続け、ゴーギャンゴッホの描いたひまわりをモチーフにした絵を描いていた、というのを知ってとても感動しました。

 

あのロンドンナショナルギャラリーで目玉になっていた、ひまわりは、ゴッホゴーギャンとの共同生活を始める際、ゴーギャンを出迎えるために描かれた絵だったようです。

何も知識がない状態で見た時は、なんか黄色い絵だなあ、と思っただけでしたが、この絵にはそんな素敵な物語があったようです。

 

ちなみに、この本の最後に、「ゴッホが自殺に使ったとされるリボルバーは、2019年6月19日、パリの競売会社オークション・アートによって競売にかけられ、16万ユーロ(約2,000万円)で落札された。」と記載があり、リボルバーの存在が本当だったと分かったときには、最後は鳥肌がたちました。

 

原田マハさんの本は、楽園のカンヴァス、暗幕のゲルニカ、ジヴェルニーの食卓なども読んでいるのですが、どれも美術史の知識が深まるし、作中の中に出てくる絵って、実際どんな絵なんだろう?と興味が湧いてくるのでいいんですよね。物語だから、美術史の教科書より全然読みやすいですし。

文章も、簡潔で、疲れて難しい本が読めない社会人の私にとってとても読みやすいのもありがたいです。

 

いつか、そんぽ美術館に展示されている「ひまわり」も見てみたいなあ、なんて思っています。緊急事態宣言が解除されたから、もう営業開始しているみたいですし。