生まれて初めてしたデートの話【オタク女、恋をする。3】
この記事は、生まれて初めて男性にデートに誘われたときの話【オタク女、恋をする。2】の続きです。過去の記事はこちらから。
私は、意中の男性、Iさんに六本木で映画を観に行くことになりました。
そう、生まれて初めてデートに誘われたのです。
とにかく、私は、Iさんに女性として魅力的に思われたい。そう思っていました。
それにはまず、当日着て行く服を決めなければなりませんでした。
それまで、ハニーズ、ユニクロ、就活のスーツくらいしか着たことが無く、お洒落には無頓着でした。周りの友達から、私は地味で暗く、化粧も、服装もいい加減であるから、男性ととてもじゃないけれど付き合えないだろうというようなことを言われることもあったくらいです。そんな私に、デートのときに来て行ける服なんて持っているはずがありませんでした。なので休みの日、早速地元の駅ビルに買いに行くことにしました。
私は地元の駅ビルを散々悩みながら1日中歩き回り、やっとマジェスティックレゴンで白い、可愛らしい感じけれど店内では比較的シンプル目だった長袖と、茶色いチェックのスカートを買いました。そして数日かけて試行錯誤した結果、当日の髪型はハーフアップにし、赤いリボンのバレッタを結び目に付けていくことに決めました。
そして、いよいよIさんとのデートの日になりました。
私は買った服を着て、化粧をし始めました。それまでBBクリームしか塗ったことがない私は、塗り慣れないファンデーションを必死で塗り、いつもはしないビューラー、マスカラをしてとにかく説明書通りアイシャドウを付けました。そして、特に苦戦したのは髪型でした。私はかなり手先が不器用だったので、綺麗にハーフアップにするのにも一苦労でした。今思うと美容院すらまともに言っていなかったので、そもそも毛量が多く、まとまりづらかったのだと思います。あまりにも必死で、長時間洗面台に立っているので、当時一緒に住んでいた弟は、私の様子に驚いていましたが、そんなことを気にしている場合ではありませんでした。
必死に頑張りましたが化粧は濃く微妙に髪もまとまっていませんでした。出来栄えは65点くらいでしたが、もう出発の時間は迫っているし、今の自分の実力では、これ以上は無理だと判断し、諦めました。
そして、Iさんとの待ち合わせ場所へ向かいました。
Iさんは、約束の時間になっても来ず、やはり遅刻してきました。
内心、あんなに頑張って準備して、地元からはるばる六本木まで時間に間に合うように来たのに、と思いましたが、そう思う気持ちよりもIさんに誘われた嬉しさが勝ったので、怒ることはできませんでした。
Iさんは俺、方向音痴なんだと言いながら、映画館を検索して案内してくれました。確か、Iさんが映画のチケットの予約をしてくれました。
Iさんは自分でも言っていた通り、地図を見るのが得意なタイプには見えませんでした。俺、池袋以外分からないんだ、とも言っていました。Iさんは、埼玉県に住んでいたのもあり、一番近い都会が池袋だったため、池袋であれば比較的よく知っているようでした。
そして、なんとか迷いながらも、映画館に到着しました。
私たちは映画のチケットを受け取り、飲み物を買って席に着き映画を観ました。
でも、当日は凄く緊張していて、途中のゴジラがシンゴジラに進化する一番いいところでトイレに行きたくなってしまいました。どうしても我慢できなかったので、もう22歳なのに…と恥ずかしい気持ちになりながらも、トイレに行きました。
そんなこんなで映画が終わり、Iさんは君がトイレに行っていて観れなかったシーン、すごい重要だったよ、などと話しながら、一緒にお昼を食べることにしました。
Iさんは、大学生によくありがちな「お金がない」が口癖の学生でした。そのときも、お金がない、高いお店には入れない、と言うので、映画館の近くのマクドナルドで一緒にお昼を食べました。
その時、テーブルに向かいになって座ったので、Iさんの顔を見ながら話していたのですが、ハンバーガーをばくばく食べるIさん(お腹がすいていたらしい)も、やはりイケメンで、私は見惚れてしまっていました。男性と2人で食事をするのもこの日が初めてだったのですが、私に比べてIさんの一口は大きく、あっという間にハンバーガーを食べ終えてしまいました。男性は、こんなにも食べるのが速いのか、と驚きながらも、男女の違いを見つけたことで、またIさんを「男性」として意識してしまい、緊張してしまっていました。また、食べている最中、Iさんの食べかけのハンバーガーが視界に入る度(断面が私の方から見えていた)、汚いなーと思うのと同時に、あのハンバーガーの断面にIさんの唾液がついている、唾液…唾液…唾液から想像してしまうのはキスだけど、Iさんと、キスしたらどんな感じなのだろう…と一人で考えて興奮していました(今思うと気持ち悪すぎる)。そう、言うまでもなく、当時の私は今の私よりも、「男性」という生き物に対して過敏で、神経質だったのです。初めての恋人に対しては、誰でも同じ感覚を抱くと信じたいのですが。
私たちは昼食を済ませた後、Iさんのよく知る池袋の、サンシャインシティに行くことになりました。
サンシャインシティの中の、ナンジャタウンに行きました。そして、アトラクションを利用しない、入園券を買い、中へ入りました。
いろいろと中を見て回った後、少しお腹が空いてきたので、私たちはアイスを買って食べることにしました。そのときは、味の種類が9種類くらいあるものを買いました。このアイス、普通のバニラとかがほとんどだったのですが、変わった味のアイスも少し入っていました。中でもおでん味のアイスがあったのですが、恐ろしいほど不味かったし、見た目も薄い茶色で気持ち悪かったです。でも、Iさんの前で食べ物を貶したら、絶対に私にいいイメージを抱くはずがないと思ったので、味については深く触れないようにしました。
私たちは2人でスプーンでアイスをつついて食べたので、ほぼ間接キスしているようなものでした。私は少し興奮し、おでんアイスの不味さに耐えながら、なんとか食べ終わりました。
その後、おそらく2人で居酒屋にお酒を飲みに行きました。
Iさんは、チェーン店の居酒屋に「ここ、結構よく来るんだ」と言いながら私を案内し、一緒にお酒を飲みました。
ここで、何を話したのか詳しくは覚えていないのですが、就活、就職への不安や、私が当時から大好きな声優、木村良平の話、そして自分がモテなくて悩んでいる話をしたのでしょう。
Iさんは、就活の話はもちろん、私の乙女ゲーム好きである一面を知っても、全く引いている様子がありませんでした。私は、自分のような2次元の男性ばかり追いかけているオタクは、絶対に男性に、中でもIさんのような活発で社交的な男性には気味悪がられるに違いない、と思っていました。なので、Iさんの反応を見たときは、信じられませんでした。むしろIさんは、私があまりにも熱く木村良平への愛を語るので、面白そうに話しを聞いていました。それが私にとっては本当に嬉しかったので、Iさんをもっと好きになってしまったのでした。
そして、もはや恒例の「私、こんなオタクだし、頭も良くないし、可愛くないし、本当に駄目なの。モテなくて困ってるんだ…。」という話にも、Iさんは「今日いろいろ話を聞いたけど、君は頭がいいし、女性として魅力的だよ。」
それを聞いた私は、また夢でも見ているのかと思いました。そして
へ?!?魅力的なの???こんなネガティブで同じ話しかできない私が、魅力的???????しかも女子とかじゃなくて、女性って言い方、紳士っぽくて好き…
と思っていました。
また、このとき、私はIさんに合わせてお酒を飲みすぎて、少し酔っていました。Iさんは、持っていた飲みかけのペットボトルの水を差しだし、飲んで、と言ってくれました。
いやもうそれ間接キスじゃん、、、、終わった、、、
でもIさんとだったら間接キスでもなんでもしたい、、、
と酔いとときめきで死にそうになりながら思い、Iさんからもらった水を飲みました。
このときだったか定かではありませんが、Iさんは、一緒にお酒を飲んだ女の子のペットボトルを見たり、自分のペットボトルの水を飲ませたりすると、ドキドキするんだみたいなことを言っていたので、今思うと無類の間接キス好きというか、そういった性癖があったのでしょう。まあ、食べかけのハンバーガーを見て興奮していた私が言えることではありませんが。
そして、もうそろそろ帰ろうという話になり、会計を済ませ、席を立とうとしました。
そこで、Iさんは、はい、というように手を差し出し、私を立たせてくれました。私は平然を装っていましたが、内心
へ?!?もう手繋ぐの?!?てかIさんの手大きいな…
と思い、また死にそうになっていました。初デートで手まで繋ぐなんて、今思うとIさん相当手馴れてますよね。
そんなこんなで名残惜しい気持ちを抑え、その日はなんとか駅で解散したのでした。