僕の傘を探しに

26歳OLの雑記

はなしあい

もう限界だった。

会えば服装や、新大久保があまり好きでないというし、必ず家事の能力を伺ってくる。
しまいには年収にまで口を出し始めた。


年収の話を聞いたあとは、毎日泣いていた。

朝目が覚めて、自分の年収の額に絶望しては泣き、仕事から夜帰ってきてはパニックになりながら転職サイトを見た。

外資系の企業に勤めれば年収があがるかもしれない、いや、弁護士とかを目指すべき?と思い、がむしゃらに年収アップの方法を調べてはその道のりの険しさに絶望していた。

泣きすぎて腫れた目を見て、会社の人が怪訝そうに私を見ていたが、憔悴しきった私にそんなことを気にする余裕などない。

あまりにも年収の話が頭から離れないので、友人に電話で話を聞いてもらった。
友人は、私の話に耳を傾け共感してくれたあと、「ちゃんと話し合った方が良い」と言っていたのだった。

頭ではそうするしかないと思っていた。でも聞くことで別れなければいけないかもしれないのだ。聞くのすら怖い。


友人にそう打ち明けると、「それで別れるならクズ男だから別れて正解だと思う」とサバサバした意見をくれた。
自分に言われてもどうしようもないと切り捨てないのが友人の優しさだとも言える。

電話でそんなことを話していると、しゅうたからLINEが来ていた。

明日一緒にご飯をたべよう。

食事の誘いだった。

本当は次に会うのは年明けの予定だった。

運良く年内に誘いが来たので、明日話し合えば年末年始に引きずることもないだろう。
またとないチャンスだ。

そう思った私はさっそくしゅうたと新宿で会う約束を取り付けたのだった。

12月28日。年末の新宿駅東口はナンパや、怪しいキャッチがうろうろしていた。
なんとかしゅうたと落ち合った。

この日は西口のパスタ屋、「景虎」へ向かった。

麺好きの彼は喜んでいた。

ただ、彼は年末急遽出勤になり、この日は少しイライラしていたようだ。
トラブルになったが、うまく対処できずあげくに出勤になったらしい。

今日は話し合いは無理そうだ、やっぱり年明けにしよう。

そう思いながらパスタを胃の中に流し込んだ。

「ストレス溜まったからこの後カラオケ行こう」と誘われた。
いつも遊びに誘うのは彼の方だ。

カラオケ嫌いな私はいやいやついていったが、最終的にお酒を飲んではしゃぎまくり、彼より楽しんでいた。

楽しくなってしまった私は、最終的にしゅうたを私の家に誘った。

家に向かう帰り道、「いちゃつきたいのは、生理前だから?」と聞いてきた。

今思えば別になにも思わないが、この日の私はこの一言がすごく気になった。生理前に性欲が増すことがある、というのは以前私が話していたことである。
でも、その日は違った。家に呼んだのは、一緒に居たかったからだ

昔からの悪い癖だ。
私は彼氏と一緒にいたいだけだなのに、いつもなぜかセックスする流れになってしまう。

もちろん性欲はあるし、挿入まで未だにいっていないから目の前に人参をぶら下げられて走る馬のようになっていることは認めよう。

でも、違った。いや、最初から違った。
私は、セックスなどそこまで重要ではなかった。

趣味が合わないから、性行為に逃げていただけだ。

私は、しゅうたに合わせていたんだ。
しゅうたを繋ぎ止めるのに、性行為が必要だっただけだ。

これでは、一人目の彼氏となにも変わらないじゃないか。

私たちは、昭和記念公園の後から、家デートしかしていなかった。

その時点でそこまでは気づかなかった。

でもとにかく年収の話を解決すべく「話
があるんだ」とだけ伝えた。
しゅうたは怯えていた。別れ話だと思ったようだ。

コンビニで酔いざましのため水を買い、一緒に飲んだ後、さっそく切り出した。

「この前の年収の話、嫌だった。しゅうたは人の価値を年収で判断してるの?」と聞いた。
「そんな風に思ってたのは知らなかった。ちゃんと性格で見てるつもりだよ」と返ってきた。

さらに家事についても話をした。

「ずっと、家事ができるようになってほしいと思われてるんだと思って悩んでた。今日まで、ほぼ遊ばずに練習してたけど、もう辛い。今の私じゃ付き合いたくないって思ってる?」と聞いた。

「そっか…。共通の話題がなかったから出していただけで、本当に
深い意味なんてなかった。ごめん。今のももちゃんに足りないと思っているところはないよ」

そこまで言い、話し合いは終わった。

そこからは言うまでもない。
いつも通り前戯だけしてしゅうたは帰った。

なにもせずそのまま帰ってもらうべきだったと、今では少し思う。

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