僕の傘を探しに

26歳OLの雑記

恋愛・婚活に疲れたときに読んで欲しい究極の一冊【独身でも、誰かの妻でもない生き方:韓国書籍「女ふたり、暮らしています。」】

世の中には2種類の人間がいる。それは、「結婚する人」と、「独身でいる人」だ。

 

そう思っていませんか?

 

私は、この本を読むまで本当にそう思っていました。というか、思わされていました。でもこの本を読み終わってから、

 

いや、その考えって、もしかして今の時代に合っているのかな?

 

と思うようになりました。

 

この、「女ふたり、暮らしています」を読んで考え方ががらっと変わったのです。

 

 

 

 

この本は、ソウルに住む韓国人女性キム・ハナと、同じく韓国人女性ファン・ソヌの共同生活記です。この2人は恋人同士ではなく、友人関係。2人は30代後半に出会い、40代から2人でソウルの家を住宅ローンを組んで買い、同居を始めます。

 

同居を決めたのは、お互いとても気が合い、好きな本、好きな音楽、お金の使い方がとてもよく似ており、どちらも長い独身生活に寂しさを感じていたからでした。

でもいざ同居を始めると、ミニマリストであるキム・ハナと、全く逆の物を捨てられず、どんどん買い込んでしまうファン・ソヌはマキシマリストであり、真逆であったため、度々衝突します。それでもなんとかお互いの違いを尊重し、一緒に暮らしていく、という内容でした。

 

この本を通して、2人の関係性は結婚はしていないし、血のつながりもないし、恋人でもないけれど、完全に「家族」だと思いました。結婚なんかしなくたって、「家族」になれるんです。

ファン・ソヌが物を捨てたり片づけたりできないので、夫婦喧嘩のようにキム・ハナが毎日積りに積もったものが爆発してけんかが起こったり、片方が入院するときは洋服とか必要な物をまとめ、手術、リハビリまで同伴したり、片方が一週間家を空けただけで寂しくて泣いてしまったり。完全に喧嘩は家族の中で日常的に起こることだし、入院の同伴も家族だからこそしてくれること、寂しいと思って泣いてしまうのも家族のように大事に思っているからなのだと思います。

 

この本の中でも、やはり「結婚」についてもちろん触れられています。世の中結婚して家庭を築く人の方が幸せだと考えている人の方が大多数で、この2人のように共同生活をする人たちの方が、まだ少数派ですし、なぜ結婚より共同生活を選んだのか、みんな気になるところだからなのだと思います。

 

このエッセイは、キム・ハナとファン・ソヌの2人の視点で書かれています。主に、結婚について記載が多かったのはファン・ソヌでした。

ファン・ソヌは自分が結婚について何度も考えてみたが、実際に結婚することはなかったと明かした後、今は「時間になればご飯を食べるように、卒業したら就職するように、結婚もそうやってするものだと信じていた以前の自分のような人がずいぶんいる。そういう人達の特徴はというと、自分の性格が結婚生活に合っているのか、あるいは、自分の望む生き方は本当に家族という枠の中で実現可能なのかを考えたことがない。」と自身の考えを語っています。

 

自分の性格が結婚生活に合っているのか。それを考えるのが一番難しいですよね。そもそも、私自身、どうして結婚についてこんなに悩んでいるのだろう、と思いました。

ファン・ソヌは、昔の中国人の同僚の話も書いています。中国人の同僚は、ファン・ソヌにこんな話をしていたそうです。「中国の人口は13億です。20以上の省があって地域ごとに文化だどれだけ違っていることか。それなのに、韓国の人たちは「中国人はこうだ」と簡単に言います。私は韓国人に対してそんなことは言えません。十年以上韓国で暮らしながら、知り合い、親しくなった韓国の友人たちはみんな違いますから」

 

これを読んだ時、「なぜ私が結婚に悩んでいるのか」という疑問の本当の答えがやっとわかりました。わたしは、自分自身を「26歳女性」という枠の中に一括りにしてしまっていたのです。収入的に豊かに暮らしていくのは難しいので、結婚こそが幸せ、恋愛がうまくいくことが自分にとって一番の幸せであると、思っていたのです。

どうして他でもない私自身が、そんなことを思ってしまっていたのでしょう。考え事をしていると、これは自分の考えなのか、それとも誰か別の人の考えなのか、判断がつかなくなります。とりわけ私がコンプレックスに思っている恋愛、結婚のことになると、その判断がまったくつけられていないことにそのとき初めて気づいたのです。

 

事務職だからみんな結婚するのか。 26歳だからそろそろ結婚を考えて当たり前なのか。女だから結婚して嫁入りして、夫を支えながら生きるしかないのだろうか。結婚したとして夫の方が収入が多いから、夫の言いなりになって生きなければいけないのだろうか。子どもが巣立つまでの期間、私は自分の人生を全て諦め、子どもと夫に捧げなければいけないのだろうか。住みたいところにはもう住めないのだろうか。やりたいことはもうできないのだろうか。夫は収入の少ない私の希望なんて聞いてくれるのだろうか。

 

たくさん浮かんできた疑問は、年齢、職業、収入、見た目、性別など、肩書や数字などにばかりフォーカスした質問ばかりでした。年齢は、その人が何年生きているかを教えてくれても、その人がどう生きてきたかは教えてくれません。職業だけでは、その人がどんな仕事をしているのかは分かっても、普段どう働いているか、どのくらい熱心に仕事しているのか、仕事ができるのか、職場でどんな存在なのかなんて分かるはずがありません。収入だって、あくまでただの数字じゃないですか。収入が沢山あっても、人を騙したり、傷つけて得たお金であったらどうでしょう。それなら収入が少なくても人から感謝されてお金を貰っているほうが素晴らしいじゃないですか。

 

結婚は幸せだと決めた、どこの誰か分からない人たちは、私の何を知っているのでしょうか。知らない誰かの価値観と、その価値観を受け入れなければいけないと思う真面目な自分に、私は悩んでいたのではなく、苦しめられていたのかもしれません。

誰よりも私を知っている、私自身でさえ自分を肩書や数字で判断してしまったことに今でも驚いています。

 

もし、早く結婚しなきゃいけない、早くいい人を見つけなければいけない、でも恋愛に疲れた、誰も好きになれない自分は駄目だ、と思っている人がいたら、

 

年齢、職業、収入、見た目、性別など、自分の持っている肩書や数字だけで、生き方を決めようとしていないか?

 

を一度考えてほしいです。ファン・ソヌが言っていたのは、自分自身の性格が結婚生活に合っているかを確認したほうが良いという話で、今あなたの持っているステータスは全然関係ないです。性格=ステータスではないので、その点を再度見直してみてほしいです。

 

さらに、ファン・ソヌは、「結婚しなくても別にどうってことはない。」、ただ結婚適齢期の「何年かの間だけ(周りに結婚しないのかと根掘り葉掘り聞かれるため)メンタルを強くして、もしくは無の境地で耐えればそういう時期は過ぎていくというのが私の経験だ。」とも語っています。

 

聞きましたか、みなさん。これを聞いて、私は自分の悩みが吹き飛んでいきそうな爽快な気分になりました。最高です。意外とそんなもんなんですね!!

30代後半まではひたすら耐える必要があるのでしょう。でも、このファン・ソヌの経験を知っていてあと10年くらい結婚についていろいろ聞かれて辛くなると分かっているのと、そうでないのでは、気の持ちようが全然違うな、と思いました。

 

さあ、話題を2人の共同生活に戻しましょう。

女性2人の共同生活は、私たちが想像する以上にメリットがありそうです。例えば、結婚において絶対避けられないであろう嫁入り。ファン・ソヌも結婚のデメリットとして「嫁入り」することで嫁ぎ先に可愛がってもらうための努力をしなければならない点を挙げていました。

それに対し、2人は一緒に住むにあたってお互いの両親に同居人を紹介していますが、嫁入りしたわけではなく、「娘の友達」であるので気を遣って両親にお酒を注いだりしなくていいし、寧ろ両親から「娘が一人で暮らしていて心配だったところだから、一緒に住んでくれてありがとう」と言われており、結婚して嫁に入るよりも相手側の家族と打ち解けやすいし、受け入れてもらいやすいのではないかと思いました。

 

また、家事の分担も、掃除洗濯はキム・ハナ、料理はファン・ソヌというように、少々キム・ハナの方が家にいる時間が長いので家事分担は多めですが、納得のいくような気はしています。キム・ハナは、ファン・ソヌが美味しい料理を作ってくれたらおいしそうに食べるし、ファン・ソヌはキム・ハナが家を掃除してくれたらすごく感謝してくれる、と作中でも書かれており、どちらも家事をやってくれるのが当たり前だと思っている様子がないことに感動しました。

 

ただ、デメリットもあります。危ない目や、怖い人に出会ったときは、女性2人だとやはり軽く見られたり、怖くて立ち向かえないことがあると思います。作中に2人は近隣トラブルに巻き込まれ、そのときは男性がいてくれたら心強かったと思ったと書かれていました。また、個人的に男性の方が力は圧倒的にあるので、重い物とか運ぶときに頼れた方がいいなとは思います(笑)。あとは、やはり子どもの問題でしょうか。愛する人との間に子どもがほしいと思うのであれば、男性と一緒に育てた方が金銭的にも余裕があるとは思います。

 

最後に、今回は独身でも、誰かの妻でもない生き方として、女性2人の共同生活をする生き方をご紹介しました。でもこれだけが正解とかではなく、まだ私たちが気づいていないだけで、多種多様な生き方があるはずです。

というか、結婚とか、恋愛とか、もうどうでもよくなってきました。住みたい人と一緒に暮らせばいいじゃないですか。キム・ハナも、ファン・ソヌも楽しそうに暮らしているじゃないですか。一緒に暮らしたいと思った人が男性だったのか、女性だったのか、それだけじゃないですか。なんでこう、慣習とか、風習とか、先入観とかって、物事をややこしくしてくるんでしょう。

とにかく、いつか一人ひとりにあった生き方が受け入れられる、そんな時代がくるといいなと心から願うばかりです。

 

そのために私は「結婚」という選択肢のみに囚われず、自分は、どんな人間で、どう生きていきたいのか、周りの圧力に負けずに考え続け、その答えを探しながら生きていくしかないのだと思っています。